Vol. 49
そんな話を琵琶湖博物館嘱託のH君にしたところ、あの赤い花はハスで、朝のうちしかキレイに見られないらしいよ、と聞いた。なるほどね。私も夕方に寄ってみようかと思ったが、そういうことでは仕方ない。今度来るときは少し早目に来て、ちゃんと見てみようと思う。
その水生植物園のハスであるが、今がホントに旬の季節らしい。水生植物園のウリも日本有数のハスの群棲地ということであり、その広さは甲子園の2.4倍....とカタログでは言っている(^_^;)。早めに行って午前中は水生植物園『みずの森』、午後からは琵琶湖博物館というコースというのも良いでしょう。烏丸半島だけで1日過ごせるはず。デートなら、夕暮れは湖畔のベンチで、というのもOKかな(笑)。ただし、水生植物園と琵琶湖博物館を1日でまわると、かなり疲れることは間違いない。
企画展「近江はトンボの宝庫」に入ったところ |
さて、18日より琵琶湖博物館では企画展『近江はトンボの宝庫』を開催している(追加料金200円が必要)。また、水族展示では『南の島のさかなたち』という企画展も行なっている(こちらは追加料金不要)。少々レポートが遅れたが、今回はまず企画展『近江はトンボの宝庫』をレポートしてみたい。
久しぶりの企画展『近江はトンボの宝庫』は、その名前の通り、トンボの大特集といった感じの企画展である。今までの企画展はどちらかというと抽象的というか、テーマが来館者に分かりづらい部分もあったように思うが、今回は名前そのものだ。前回レポートした『第1回琵琶湖博物館研究発表会』で発表のあった滋賀県におけるトンボの調査をベースにしたものになっている。
トンボの大きな模型(企画展示室中央) |
さて実際の内容を見ていこう。まず企画展の入口を入ると両側にトンボのキレイな写真を飾ったトンネル通路を通ることになる。写真はこの企画展のベースとなった調査を行なった「滋賀県トンボ研究会」のメンバーが撮影したものだ(→Vol.48参照)。デジカメでくだらない写真を取ってる素人な私にとっては、いや〜キレイだねぇとしか言えない(^_^;)。人が近寄ればすぐに飛んでいってしまうだろうトンボを取るのは、さぞかし難しいだろうと推測できる。
んが、写真より目立つのがトンネル風通路の造りである。夏をイメージしてか、すだれというかそういう感じのトンネル?になっているのだが、鉄パイプがむきだしで、これはかなり違和感がある。はっきり言えばカッコ悪い。思わず「予算がなかったのかなぁ」なんて下世話な推測をしてしまうくらいだ。これは今回の企画展内の全ての造りに言えることで、これがもし、この企画展をこしらえた業者のセンスとしたら、最低だと言わざるを得ないだろう。ま、この件については後述するとして先を見て行こう。
写真の飾ってある通路を抜けると、トンボの起源や一生について説明のあるパネル群が始まる。また、日本のトンボ(180種ほどあるそうだ)全ての標本展示もある。パネルの説明は程よく簡潔で、良い感じではある。その先の企画展示室中央には、大きなトンボの模型が置いてある。なかなかの迫力であるが「触らないで下さい」と書いてある(ちと残念)。その先のヤゴの模型に触ってくださいと書いてあって、トンボの模型は駄目だが、ヤゴの模型は触って良いとはどういうことだろう?と思ってしまう。ま、おそらくはトンボの模型は壊れやすいからだろうな....
トンボの構造のパネル。ビニールシートに書かれている。 |
展示室の奥へ入っていくと、研究発表会にも報告されていた滋賀県で見つかったトンボ98種についてリストアップされた大きな展示があり、後の方には分布図などがあり、「滋賀県トンボ研究会」の調査の成果が展示されている。展示室一番奥には、環境別に生息するトンボうあ、日本のトンボおよびアジアのトンボについてのパネル展示が続く。それぞれは写真をふんだんに使ってみやすいが、ちょっと淡々としているかも。
滋賀県で発見されたトンボの一覧パネル | 日本各地のトンボグッズ |
その他には標本の作り方なんかが分かりやすく書かれてあったのが印象的。また、トンボグッズの紹介や、トンボに関するホームページの紹介、そしてトンボに関するビデオ映像を流していたりしていた。また、この展示のベースになった「滋賀県トンボ研究会」の紹介もあった。
ちなみにミュージアムショップ(企画展示室隣のお土産屋さん)で、トンボのグッズがたくさん売っているのを今日発見。全然知らなかった。企画展の有料パンフレット(400円)もあるが、トンボのステッカーやら、ちょっとキラキラした良い感じのバッチなど色々あったので覗いてみるのも良いかも。
謎の?「トンボに変身してみよう」コーナー |
その時は「なんだかなー」と思ってたのだが、後日ちょっと見てみると、小さな子供たちは結構楽しんでやっていた。ま、小学生高学年以上は素通りだが、家族連れなどにとっては良い遊び場なのだろう。そのあたりの感覚は、独身の私にはちょっと分かりづらいものだ(^_^;)
さて、全体を通してみての印象としては「生真面目すぎるくらいマジメ」という感じである。前述の研究発表会を見ているせいかもしれないが、この企画展のベースになった「滋賀県トンボ研究会」の調査研究発表の色彩が非常に濃い。それはそれで良いとは思うのだけど、残念ながら見せ方が非常に良くないと思う。あくまで個人的な感想であるから言うのだが、見せ方がまずくてもったいない気がするのである。
ヤゴの模型。改めて見ると気色悪い? |
最初企画展に入ったところの通路の写真にしても、あまり写真を生かす造りでない。写真が目立たないようになっている。トンボの構造のところについては前述の通りだし、展示の順路もあまり系統だってないような気がする。日本のトンボの紹介と標本の位置が離れ過ぎていたりもするし....
せっかくかなり力の入った調査研究に基づく発表なのに、ちょっともったいない。研究発表に重きを置くなら、もっとホントにマニアックにして、前回の『私とあなたの琵琶湖アルバム』のようなシンプルな展示でも良かったように思うし(来館者がその内容が全部理解できなくても凄いな〜と思うような)、逆に『古代湖』の企画展のように、ライティングの妙を含めて雰囲気を持たせるかだ(あまりそれは今回の企画展に似合わないとおもうが)。
標本の作り方の解説。これは非常に分かりやすかった。 |
なんだか偉そうに言いまくっていて申し訳ない気がするのだが、もうちょっと企画展については見せ方とか来館者の満足度というものに配慮して欲しいと毎回思う。いつも書いているのだが、少なくとも追加料金を払うのだから....前回の『私とあなたの琵琶湖アルバム』を割と評価しているのは、内容はかなり地味であっても、見に来た人がそのテーマについて展示を見ながら色々思ったりできることと、見せ方がテーマに一致していたことにある。今回の企画展は内容がはっきりしていて悪くないのに、見せ方があまりにも残念な気がしてならないのだ。
それでも今回の企画展について「入る価値あるかな?」と聞かれたら「まぁ、見ても良いんじゃないかな」とは言えると思う。来館者の立場としてね。以前琵琶湖博物館に来たことのある人、特に子供連れにはお勧めかな。そういう意味では夏休みに開催するのはベストなのだろう。夏休みの自由研究のテーマがまだ決まってない子供さんには、特に良いかも知れない(笑)
まぁ、個人的には、もうちょっとマニアックになってるのかなぁ、と思ったけどね....(^_^;)
さて、次回は引き続き水族企画展『南の島のさかなたち』をレポートの予定。なんですが、気がつくともうこの下らないエッセイも50回目ですので、ちょっと趣向を変えてインターネットと博物館について思うところを書きたいと思います。前後して水族企画展などもレポートしたいと思います。
ま、夏の琵琶湖博物館も良い感じ、かな(笑)
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