Hotori Title 2

Vol. 50

98.08.05 (Wed.)



 梅雨明けはしたものの、すっきりはっきり真夏の太陽バッチリ!という天気には、なかなかなりはしない。今日も晴れてはいるものの雲が多く、博物館からは比叡山のやまなみもはっきりしない。梅雨のさなかと変わらない感じである。

 今日は前回少し紹介した水生植物園『みずの森』のハスの花を見るべく、ちょっと早起きしてやってきて、烏丸半島の琵琶湖博物館とは反対側の岸へ行ってみた。ハスの花を見るためだけなら水生植物園に入る必要はなく、烏丸半島の周回道路から湖岸を一周する遊歩道に出ればいい。水生植物園脇の小道を通り、湖岸に出てパッと前が開けると....思わず「はぁ〜こりゃまぁ〜」とつぶやいてしまう。いや、ホント想像以上だった。元々、パンフレットに何が書いてあっても、実はたいしたことないんだろうと、すっかりタカをくくっていたせいもある(^_^;)。水生植物園の関係者様、すいません(笑)

ハスハスハス ハスを撮影する人々
ハスハスハス、ですわ.... 朝早くからハスの撮影に集まる人々


 なんていうか、見渡す限りというのはオーバーだが、視界の結構な部分がドォ〜〜〜〜ッとハスハスハスのである。緑の茎と葉っぱに、ところどころピンク色の大きな花が、点々と配置され、絶妙のコントラストを醸し出している。水生植物園脇から出てくると湖面よりちょっと高い位置にある分、見渡すことができるので群棲するハスの壮観さが伝わってくる。

 その場所から少し下に降りて湖岸ギリギリまでに行くと、目の前にハスを見ることができる。ハスの種類によって違うのかもしれないが、私の印象にあるハスと違って、かなり湖面から高い位置まで成長していて、それが見渡す限りの湖岸に生息しているので、なかなかの迫力である。その湖岸にはカメラを構えた人が結構いる。確かにここは結構いいかもしれない。私のデジカメ(FinePix700)はズームがないので、こういう時はちょっと辛い。


実習生とインストラクター
実習生にレクチャーするインストラクターさん
 ひとしきりハスを見たところで、いつものように話は琵琶湖博物館へ。ハスのところでもお父さんについてきた子供たちが走り回っていたが、琵琶湖博物館も夏休み真っ盛りである。11時ごろまでは、今日は意外に空いているのかなぁ、と思ったりするのだが、昼前から午後3時過ぎにかけてはやっぱり結構な人出だ。大人の団体が中心の時期には参加者の少ない回転実験室も、夏休みは大繁盛で朝から閉館時間近くまでフル回転。インストラクターさんたちも大変である(^_^)

 で、なぜか今日はインストラクターさんたちの横に1人2人と私服の学生らしき人が立っている。「んん?なんなんだろ?」と思ったら、いきなりインストラクターさんに「あ、紹介しておきますね」などと言われて戸惑う(^_^;)。学芸員資格を取るために、琵琶湖博物館に実習しに来ている学生さんたちだそうだ。なるほど、みんな若いよね(笑)

 学芸員資格については良く知らないのだが、ある学芸員さんに聞いたところによると、文部省が公認?する博物館には、最低一人の学芸員資格を持つ職員が必要だとのこと。そのための資格を取るためには3つの方法があるそうで、

というのがあるらしい。で、実習に来ている学生たちは3番目に相当するわけだ。1週間ほどの間、琵琶湖博物館で色々なカリキュラムをこなすそうなのだが、今日はインストラクターさんについて、各所のインストラクターさんの業務を学んでいるとのこと。実習生のみんなも大変だが、インストラクターさんたちも大変みたいだ(^_^)

 で、学芸員資格と言えば誤解していたのだが、学芸員資格がないと博物館の学芸員さんになれないかというとそうでもないらしい(博物館によっては必要なところも)。実際、琵琶湖博物館では時々(1年に1回?)学芸員の募集をしているのだが、必ずしも学芸員資格を必要としていないし、実際に琵琶湖博物館の学芸員さんの中でも資格を持ってない人も少なくない。公式ページの職員紹介を見れば分かると思うが、学芸技師となっている人はまだ取得してない人である。が、主任学芸員さんとかでも持ってない人がいるとのことで、職名だけで区分しているわけではないようだ(部外者だし公務員でもないゆえ、そのへんは良く知りません)。

 もっとも募集要項を見ていると、資格を持ってない人は採用後速やかに資格を取得するように、と書かれているし、実際そう言われるらしい。ただ、学芸員資格があれば学芸員になれるというわけではなく、要は自分自身の研究内容などが肝心であるとのこと。当たり前といえば当たり前の話ではある。


水族展示室
水族展示室に入ったところ。中央の水槽は一見何もないように見えるが...
 さて、そんなこんなの琵琶湖博物館・'98夏ではあるが(意味不明)、前回の企画展レポートに引き続き、今回は水族企画展のレポートをば。水族企画展示室は、C展示室(2階)から1階へ降りてきて水族展示室に入ったところにある。アトリウム(中央のホールね)脇の企画展示室と違い、こじんまりとした部屋で行われている。その分、企画展と違い、追加料金は不要だ。

 そんなこともあり水族"企画展"というよりは、水族展示の特設コーナーという感じだが、毎回ちゃんとパンフレットも用意されているし(もちろんパンフも無料)、常設展示されていない魚たちがいるし、こじんまりしているが主張?はあるので、見ない手はない(無料だし)。

 展示の雰囲気のほうは、3面の壁に埋め込まれている小さな水槽に色々な魚たちが展示されているのと、部屋の真ん中になにかしら(今回は大きめの水槽)が置かれている。いつものレイアウトである。照明もしかり。ただ、魚たちの展示であるがゆえに水槽が必要で、そのための設備的な制約があるため(企画展示室での水族企画展もできないらしい)、そうそうレイアウトに変化をつけることはできないらしい。

 で、中に入ってまずは、3面の壁に埋め込まれた小さな水槽群を、右手から順に見ていく。相変わらず何も分からないまま、それぞれの水槽を見ていくのだが、3〜4個の水槽を見たところで、どれも魚の顔が似ているというか、どの魚もアホ面をしている(^_^;)。う〜ん、どこかで見たような面....と水槽上のラベルを見ると、なるほどどれもハゼの仲間たちなのである。あの愛敬ある顔に似ているわけだ。しかしハゼでも、普通の魚のように水中を軽やかに泳ぐやつもいたんだ....(^o^)


河口域の魚たち
コモチサヨリやオキフエダイ(たぶん ^^;)
 鼻(?)がグ〜ンと長いコモチサヨリとかに興味を惹かれつつ、一通りの水槽を見て回るが、こじんまりした部屋であるので、全部の水槽を見るのも5〜10分くらいである。一通り見たところでは『南の島のさかなたち』の割には、あまりカラフルな魚たちがいなかったなぁ、という素人丸出しの印象(^_^;)。なんていうかやっぱり『南の島のさかなたち』っていうと、熱帯魚みたいなものを想像するでしょ(笑)。確かに琵琶湖博物館は淡水魚専門だから、熱帯魚がいるわけじゃないってのは分かっていたんだけど、つい何となくそれっぽい想像をしてしまう(^_^;)

 ま、別にそれが悪いというわけじゃなく、あくまで私なりの正直な印象である。まぁ、水族展示を見ていつも思うことだが、小さく区切られた水槽の展示だけなので、余計に地味に見えるのだろう。魚の展示という点で困難らしいが、一度あの広い企画展示室に天井まで届くくらいの馬鹿でかい水槽を置いた、ド派手な水族企画展なんぞも見てみたい気がする。

 そんなことを考えながら再び水槽を見て、そして琉球列島のなりたちとか、リュウキュウアユに関する解説パネルを読む。そこで始めて気がついた。「あれ?もしかして南の島って、琉球列島のこと?」(^_^;;;;;)

 水族企画展のパンフをちゃんと見てみると、『南の島のさかなたち』というタイトルの舌に『−琉球列島の淡水魚−』とサブタイトルがある....いやぁ、気がつかなかった(^_^;)。どうりで南の島というわりには日本っぽい魚ばかりなわけだ。そう言われると、ここに並んでいる魚たちの種類にも納得できる。カラフルな魚たちなんぞいるわけがない。

 一人で勝手に誤解して一人で勝手に納得しつつも、ちょっと地味な展示だったなぁ、と展示室を出ようとしたのだが、展示室中央に何気に置いてある水槽を見ていなかったことに気がついて、ふと覗いてみる。おお?茶色い地面と同系色の生き物がなんか跳ねてる....お〜〜〜〜これぞハゼじゃんか〜〜〜\(^o^)/

 思わず水槽に手を入れてしまう(たぶん、ホントはいけないと思う)。手を近づけると、ペタンペタンと音を立てて飛び跳ねて逃げる。かわいい〜〜〜〜チョ−かわいすぎ〜〜〜〜。思わず女子高生モードに入ってしまうくらいである。

 超かわいい?ミナミトビハゼというハゼの他に、体のわりにはデカいハサミで水槽越しの私を威嚇してきたノコギリガザミというカニ、妙にでかい貝(ヒルキシジミ類)などが水槽にはいた。マングローブ帯に住む生き物たちだそうで、水槽に2〜3本刺さっていた木はマングローブだったのだろう(確認してないので不明だが)。


ミナミトビハゼ ノコギリガザミ
ユーモラス&なんかかわいいミナミトビハゼ 水槽越しなのにやたら挑戦的なノコギリガザミ


 しかしまぁ、見逃すところだった。ミナミトビハゼなんかは水槽の土の色と同化しているもんだから、少し離れていると絶対に気がつかない。カニもそんなにでかくないし、貝なんかは半分土中に埋まってる。何気に見ていると、ただのオブジェだと思ってしまうだろう>展示室中央の水槽。だが個人的には、今回の水族企画展は、このミナミトビハゼを見なければ(戯れなければ)意味がない、と断言しよう(いいのか?)。

 周囲の水槽だけだったら「タダだし見たらいいと思うよ」というレベルの印象だったのだが、このミナミトビハゼのユーモラス&かわいいやつらを見たら、「水族企画展の部屋の真ん中にあるハゼ君はいいよ〜一度見てみな」と思わず言ってしまうくらいなのだ。私が見ていたときは、他にお客さんがいなかったが、子供たちが見たら大喜びかもしれない(でも子供たちが見るには水槽の位置が高すぎるよなぁ)。

 というわけで、一人で勝手に誤解して、一人で勝手に納得して、一人で勝手に喜んでいたわけだが、今回の水族企画展は、ミナミトビハゼのペタンペタン飛び跳ねる様とユーモラスな顔を観るためだけにでも行け、である。私も今度また行こうっと。図書館の奥にひっそりと飼われているカメといい勝負の愛敬だな(^_^)



※前回予告の「博物館とインターネット」に関する話は、まだ書きあがりそうにないので、また後日....(^_^;)

※琵琶湖博物館における「インストラクター」の正式名称が「展示交流員」なるものに変更されたという話ですが、このウェブ内では引き続き「インストラクター」と記述します。







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