Vol. 36
寒々とした時雨模様の琵琶湖と比叡山。本格的な冬の到来だな、と感じさせる。 |
博物館へ向かう途中、大津ではほとんど雪は止んでいたのに、湖岸道路を北に走らせていくうちに雪は本降りになってきた。こんな天気になってくると、今年2月の大雪の日のことを思い出して、全くいや〜な気分になってしまう。今日はまだ全然雪道でもなんでもないのだが、都会っ子(爆笑)の私にとって、これからの季節、雪道を車で出かけるのはちょっと気が重い。憂鬱だ。
さて師走に入って秋の行楽シーズンも過ぎ、博物館内は静寂を取り戻している。11月も半ばに入ると遠足の小中学生がいなくなり結構静かになったのだったが、12月ともなるとさすがにガラ〜ンとし始めている。ちょっと寂しいくらいだ。去年もそうだったが、開館して1年以上が過ぎて目新しさも無くなった分、今年の冬はなお一層閑散としていきそうだ。
人影もまばらになりつつある。特に夕刻近くになると、玄関前のホール(アトリウム)でさえ、ほとんど人気がない。 |
しばらくの間、公私ともども忙しかったこともあって、この「琵琶湖のほとりから...」の原稿も書いていなかった。本当はその間に水族展示の企画展『北海道の淡水魚』もオープンし、その直後に企画展内容に関するフロアートークを聴く機会にも恵まれたりしたのだが、さすがにいまさら細かい内容を覚えきれてないので書くことができない(^_^;)。
水族の企画展は、こじんまりした、というか、水族展示の入口にホントにちょっとしたスペースで展示されているだけなのだが、常設展示にはいない魚たちも多く、いつもながらになかなか良い展示だと思ってる。ま、一番良いのは企画展示室のものと違って追加料金が要らないことなのであるが....(^_^;;) まぁ、規模が違うからね。
見学順路上にあるせいか、ほとんどの人に見てもらえているようだ。追加料金も要らず、あまり大々的に「企画展示」として書いてないせいか、多くの来館者は「企画展」としては意識してないみたい。考えてみれば、それはその方が自然で良いのかも?と思ったりする。
『北海道の淡水魚』を開催している水族企画展示室内の風景。こじんまりとしているが、その分常設展示の一部として入室することができる。 |
そのせいもあるのかどうかは分からないが、見ることのできる魚たちの生態などの説明が少ないのは水族展示全体がそうである。私みたいな魚のことに(魚に限らず、生物全般においてだが)全く疎い人にとって、結局のところ魚を見ても「ふう〜ん」で終わってしまいがち。私自身他の博物館や水族館へ行ったとしても、全部の説明を細々読んでいることなど決してないのだけれど、興味が出たものに対してだけは、ちょっとくらい読んでみたいと思うことはある。でもどこの水族館もその点は似たようなものだ。
「見る」「観察する」を重視しているのか、来館者の特性に合わせているのか分からないけど、たまには知識を「知りたい」とも思う。実際それを感じるのは、水族展示担当学芸員さんのフロアートークなどを聴いたときで、何かのきっかけがあると意外と興味を引くことは多いと思う。ただ単に観察するだけよりも、きっかけをあたえてもらえば、きっとより多くの人に、より多くの興味を持ってもらえるはずだと思う。それは琵琶湖博物館に頻繁に来るようになって気が付いた点であって、自分自身色々と考えさせられたところでもある。
各魚たちは小さな水槽に区切られて展示されている(一つの水槽だけは少々大きめ)。 |
このパンフレットには水族企画展に展示されている魚たちの写真と簡単な説明に、水族企画展示室内に書かれている説明など北海道の淡水魚に関する簡単な概要も載っていて、これはかなりポイントが高い(^-^)/ 魚たちの説明については、展示室内の説明より詳しいくらいで、カラフルな写真とともに、家に帰ってからでも見返せれるものだ。
こういうのが水族展示室全体に関してあれば、更に言うならば各展示室にあればなぁ、と思う。博物館の公式案内パンフはあるけど、入館料よりも高いし....(入館料が安いんだけど)。『うみんど』という広報誌はあるけど、それは今回のような内容に関するパンフレットとは、また目的が違う気がするしね。カラフルな写真刷りでなくても、再生紙によるワープロ刷りの説明パンフを、各展示毎に希望者だけにでも配布できればいいんじゃないかなぁ。
フロアートークなどの話を聞いている限り、展示内容の単なる説明、今回の場合だと魚たちそれぞれの単純な説明より、学芸さんのちょっとした経験談も含めたものも良いかもしれない。なんて、見ている方は勝手な思いでこんなことを言っているけれど、博物館で携わる人にとっては大変すぎかも(^_^;)。端から見ていても、これだけの博物館の運営にも携わりながら、各学芸員さんが研究者としての道を歩んでいかれるのは大変だと思うしねぇ(ホント、すごいなって思う)。
でも、これから入館者数が落ち着いていけば、ちょっとくらいパンフをおいてあっても、やたら取られるだけになるってことも少ないだろうし(遠足シーズンは問題ありかもだけど)、状況によってはインストラクターさんが管理していても良いと思うし...展示をさらっと見るだけのような広く浅くだけでなく、ちょっとくらい深めの内容のためのものも必要になっていくんじゃないだろうか。
今回の水族企画展『北海道の淡水魚』のパンフレットを時々見返しながら、「行ってきた」だけじゃなく「見てきた」だけでない、家に帰ってからも反芻できるものがあれば、より博物館らしく感じられるようになるのかもしれないなぁ、と思ったりする。
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