Hotori Title 2

Vol. 36

97.12. 3 (Wed)



時雨模様の琵琶湖
寒々とした時雨模様の琵琶湖と比叡山。本格的な冬の到来だな、と感じさせる。
 2日前に大津に引っ越してきたばかりというのに、早くもこの冬一番の寒波で雪景色。まったく手荒い歓迎だなぁ、と思ってしまうのだが「滋賀県なんぞに引っ越すのは嫌だ嫌だ」と散々言ってきたツケが回ってきただけかもしれない(^_^;;)

 博物館へ向かう途中、大津ではほとんど雪は止んでいたのに、湖岸道路を北に走らせていくうちに雪は本降りになってきた。こんな天気になってくると、今年2月の大雪の日のことを思い出して、全くいや〜な気分になってしまう。今日はまだ全然雪道でもなんでもないのだが、都会っ子(爆笑)の私にとって、これからの季節、雪道を車で出かけるのはちょっと気が重い。憂鬱だ。

 さて師走に入って秋の行楽シーズンも過ぎ、博物館内は静寂を取り戻している。11月も半ばに入ると遠足の小中学生がいなくなり結構静かになったのだったが、12月ともなるとさすがにガラ〜ンとし始めている。ちょっと寂しいくらいだ。去年もそうだったが、開館して1年以上が過ぎて目新しさも無くなった分、今年の冬はなお一層閑散としていきそうだ。


閑散とした博物館
人影もまばらになりつつある。特に夕刻近くになると、玄関前のホール(アトリウム)でさえ、ほとんど人気がない。
 おまけに話を聞いていると、あれほど混んでいた休日もかなり人が減ったらしい。一時期は、まだ団体客のある平日の方が混んでいたという。もう見に来る機会のある人は見にきたというわけでしょうか....。今日みたいな北風も強く雪交じりの日は、琵琶湖の景色を眺めながら外をゆっくり散策ってわけにもいかないが、人が少ない分、館内をゆっくり見て回るには悪くない。館内も今日から暖房を入れているようで、館内だけはポカポカ気分(^-^)。

 しばらくの間、公私ともども忙しかったこともあって、この「琵琶湖のほとりから...」の原稿も書いていなかった。本当はその間に水族展示の企画展『北海道の淡水魚』もオープンし、その直後に企画展内容に関するフロアートークを聴く機会にも恵まれたりしたのだが、さすがにいまさら細かい内容を覚えきれてないので書くことができない(^_^;)。

 水族の企画展は、こじんまりした、というか、水族展示の入口にホントにちょっとしたスペースで展示されているだけなのだが、常設展示にはいない魚たちも多く、いつもながらになかなか良い展示だと思ってる。ま、一番良いのは企画展示室のものと違って追加料金が要らないことなのであるが....(^_^;;) まぁ、規模が違うからね。

 見学順路上にあるせいか、ほとんどの人に見てもらえているようだ。追加料金も要らず、あまり大々的に「企画展示」として書いてないせいか、多くの来館者は「企画展」としては意識してないみたい。考えてみれば、それはその方が自然で良いのかも?と思ったりする。


水族企画展示室
『北海道の淡水魚』を開催している水族企画展示室内の風景。こじんまりとしているが、その分常設展示の一部として入室することができる。
 難点としてはスペースが小さいせいもあって説明が少ない点。中央にテーマに関する概要的な説明があるだけなので、それぞれの魚たちに関する説明はほとんどないのが残念。まぁ、この水族企画展だけではなく、水族展示全体に言えることだが、来館者にとっても「魚を見る」のが主目的な感じで、ほんの少しの説明をしげしげと読んでいる人はほとんど見掛けない。魚の名前をチェックしている人さえ少ないかもしれない(私も人のことは言えないが...^_^;)

 そのせいもあるのかどうかは分からないが、見ることのできる魚たちの生態などの説明が少ないのは水族展示全体がそうである。私みたいな魚のことに(魚に限らず、生物全般においてだが)全く疎い人にとって、結局のところ魚を見ても「ふう〜ん」で終わってしまいがち。私自身他の博物館や水族館へ行ったとしても、全部の説明を細々読んでいることなど決してないのだけれど、興味が出たものに対してだけは、ちょっとくらい読んでみたいと思うことはある。でもどこの水族館もその点は似たようなものだ。

 「見る」「観察する」を重視しているのか、来館者の特性に合わせているのか分からないけど、たまには知識を「知りたい」とも思う。実際それを感じるのは、水族展示担当学芸員さんのフロアートークなどを聴いたときで、何かのきっかけがあると意外と興味を引くことは多いと思う。ただ単に観察するだけよりも、きっかけをあたえてもらえば、きっとより多くの人に、より多くの興味を持ってもらえるはずだと思う。それは琵琶湖博物館に頻繁に来るようになって気が付いた点であって、自分自身色々と考えさせられたところでもある。


水族企画展示の各水槽の様子
各魚たちは小さな水槽に区切られて展示されている(一つの水槽だけは少々大きめ)。
 ただ、毎日水族展示に関するフロアートークをやっているわけでもないので、その辺は来館者の来た日の運次第。でも運次第というのもなんだかなーという感じなので、来館される全ての人にチャンスのある、なにかのきっかけは欲しい気がする。その1つの回答としては企画展示に関するパンフレットってのも手だと思うわけで、今回の水族企画展については、8ページほどだが写真印刷のカラフルなパンフレットがもらえる(水族企画展室入口に置いてあるので、来館者は誰でも持ち帰れる)。

 このパンフレットには水族企画展に展示されている魚たちの写真と簡単な説明に、水族企画展示室内に書かれている説明など北海道の淡水魚に関する簡単な概要も載っていて、これはかなりポイントが高い(^-^)/ 魚たちの説明については、展示室内の説明より詳しいくらいで、カラフルな写真とともに、家に帰ってからでも見返せれるものだ。

 こういうのが水族展示室全体に関してあれば、更に言うならば各展示室にあればなぁ、と思う。博物館の公式案内パンフはあるけど、入館料よりも高いし....(入館料が安いんだけど)。『うみんど』という広報誌はあるけど、それは今回のような内容に関するパンフレットとは、また目的が違う気がするしね。カラフルな写真刷りでなくても、再生紙によるワープロ刷りの説明パンフを、各展示毎に希望者だけにでも配布できればいいんじゃないかなぁ。

 フロアートークなどの話を聞いている限り、展示内容の単なる説明、今回の場合だと魚たちそれぞれの単純な説明より、学芸さんのちょっとした経験談も含めたものも良いかもしれない。なんて、見ている方は勝手な思いでこんなことを言っているけれど、博物館で携わる人にとっては大変すぎかも(^_^;)。端から見ていても、これだけの博物館の運営にも携わりながら、各学芸員さんが研究者としての道を歩んでいかれるのは大変だと思うしねぇ(ホント、すごいなって思う)。

 でも、これから入館者数が落ち着いていけば、ちょっとくらいパンフをおいてあっても、やたら取られるだけになるってことも少ないだろうし(遠足シーズンは問題ありかもだけど)、状況によってはインストラクターさんが管理していても良いと思うし...展示をさらっと見るだけのような広く浅くだけでなく、ちょっとくらい深めの内容のためのものも必要になっていくんじゃないだろうか。

 今回の水族企画展『北海道の淡水魚』のパンフレットを時々見返しながら、「行ってきた」だけじゃなく「見てきた」だけでない、家に帰ってからも反芻できるものがあれば、より博物館らしく感じられるようになるのかもしれないなぁ、と思ったりする。







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