Hotori Title 2

Vol. 22

97. 4. 2 (Wed)



 「おはようございま〜す」。そう言って警備員室を通ると「おはようございます。いつもいつも御苦労様」と顔馴染みの警備員さんが応えてくれ....たのが、今日は全く知らない人が事務的に対応してくれただけだった。開館前に作業をするためにフロアーへ行くと、いつもとは違う制服の警備員さんがいた。そっか....年度が替わって、警備会社も変わったのかな....

今日一番の話題(?)、チンチラの「ビッキー」君。眠たそうにしているところを結構強引に撮らして頂きました(笑)。おネムの邪魔をしてスマン :-)
 年度が替わって2日目。館内はいつもと変わらぬ風景。春休みのため、朝から子供たちが多く詰めかけている。賑やかな声が館内中にこだましている。情報利用室のソフトの修正を終えた後、C展示室のコンピューターの様子を見に行くと、ちょうど新人のインストラクターさんがいた。「ここのコンピューターの中を開けたいんだけど?」「あ、ああ、今ちょっと...」「まだ班長さんは研修中なのかな?」「え、ええ、そうです」。まだまだ、ぎこちない(^_^)。けど、初心は忘れないで、がんばってね(^^)/

 しばらくして情報利用室に戻ると、作業中には気がつかなかったが、質問コーナーのカウンター脇にカゴがある。おっ?かわいい〜〜かわいいぞ。なんかハムスターのでかいヤツみたいだ(^_^;)。「なんていう動物なんですか?」「チンチラっていうのよ」。図書カウンターで働いている女の人が教えてくれた。へぇ〜なんか暗がりの中に閉じこもって眠たそう。「夜行性だから今は眠たいのよ」。なるほどね。なんでも学芸員のNさんが飼っているペットらしい。たまたま、今日持ってくることになったので、一日だけ来館者にも見せようということになったそうな。

 眠たいせいか、動かなくて愛想も何もないけど、とにかく愛くるしい。春休みでたくさん来館している子供たちにはもちろん、インストラクターの女の子にも大人気だ。図書室のところなので、チンチラの載っている動物図鑑なんかもカゴの脇に置いておくようにしてあるので、子供たちは見比べたりしている。いいね、こういう感じ。好きだな。博物館に週に一回来るのは別に息抜きに来るわけじゃないけど、ふだんは1日会社の中でコンピューターに向かって格闘しているせいか、こういうちょっとしたことが凄く気分転換になるというか、精神的に生き返る感じがする....オーバーかも知れないけど、そんな気持ちはいつも感じている。


今日のフロアートークは宮本さん。花粉の化石から気候変化の歴史を推測するという結構興味深い話をしてくれました。 おまけに2枚のプリントも配っており(たぶん初の試みでしょう :-)、気合い入っていたというか、宮本さんの真面目な人柄が窺えます(^_^)


 そんなほほえましいこともあった中、午後からはコンピューター室で色々と作業したりレクチャーしていた。そして夕方近くになって、再び館内の情報利用室の様子を見てみると、あるブース脇にインストラクターが2人立って話している。「どうしたの?」「これ、見て下さい」。あちゃ〜。トラックボールのボタンが壊されているのは毎度お馴染みだが、右ボタンと左ボタンが同時に破壊されている。おまけにトラックボール自身も壊れて、ボールを動かしてもカーソルが動かない。これはどう見ても“誰かが意図的に壊した”としか思えない状況だ。

 開館直後から何度も書いているように、情報利用室のみならず館内至るところのトラックボールはよく破壊されている。子供たちはファミコンのパッドよろしく、力いっぱい連打を繰り返すからだ(^_^;)。インストラクターの女の子達は、それを見つけるたびに「もっとゆっくり優しくやってね」と柔らかく注意するのだが、それでも壊れるトラックボールは後を絶たない。毎日毎日、展示科や情報科の学芸員さんが修理しているという状況だ(ほとんど日課という噂も...)。それは貼り紙をしようが注意をしようが、開館後半年経っても何も状況は変わらない。原因は子供たちだけでなくトラックボール自身の構造にもあって、こういったところでの使用を前提に入れてないせいか、非常に脆弱な内部構造になっているせいでもある。

 ところが普通は、ボタンのどちらかが壊れているとか、トラックボールが動かなくなったとか、そういうものなのに、今日のヤツは左右両ボタン&トラックボールそのものも破壊である。わざとやったとしか思えない。担当学芸員のHさんが「見せしめじゃ」と言いつつ、状況をそのままにして“トラックボールがこんなふうになってしまいました”という貼り紙を貼っていった(^_^)。たぶん、何の効果もないとは思うけど、いい加減怒り心頭だったのだと思う。その気持ち、分かる気がする。

博物館内で唯一タバコの吸える場所。2階A展示室からB展示室へ向かう途中の休憩所。泥酔者が倒れていたのも隣のトイレ(-_-#)
 そして、閉館まで1時間を切った頃、タバコが吸いたくなってA展示室からB展示室へ向かう途中の休憩所へ行った(館内ではここでしか吸えないのだ!)。タバコに火をつけて一息吸ったところへ「トイレで人が倒れてる」という声。慌てて中に入ると、若い男性が友達らしき人達に抱き起こされているところだった。「どうしたんですか?」びっくりして問いかけると、「ちょっと気分が悪くなったようなんで...」「どこか休めるところはないですか?」。あぁ、とりあえずは変な事件っぽいことではなささそうだ。

 とはいえ、そのままにしておくわけにも行かず、いたのは掃除のおばさんと警備員のおじさんだけだったので、エレベーターに乗せて1階の休憩所へ誘導して、学芸室へ連絡をしに行く。休憩室に寝かせた後は、同じグループの人間についていてもらうことにしたのだが、なんで倒れたか聞くと“飲み過ぎによる泥酔”だという!お、おまえら、ええ加減にせ〜よ。この真っ昼間から酒飲んで、酔いつぶれて倒れやがって!ここ、どこだと思ってんだ?博物館だぞ、は・く・ぶ・つ・か・ん!遊園地や観光地のレジャー施設じゃないんだぞ。それも学生とかじゃなくて、ええ社会人だろーが。全くなんてことだ。

 あとでインストラクターの統括者の人に聞いてみると、ここまで酷い状況はなかったそうだけど、酔っぱらって来館する人は結構いるそうだ。事実、私もときどき目にする。観光バスで乗り付けてくる団体さんには少なくない。たぶん、昼御飯時にビールやお酒を飲むのだろう。そして酔っぱらって、インストラクターの女の子にからんでくるヤツも時々いるそうだ。ホンマ、おまえら、ええ加減にせーよ、って感じ。インストラクターの女の子も辛いよね...ここは博物館のはずなのに....


 ある学芸員の人が言っていた

「なんか博物館じゃなくてレジャーランドになっているんだ」

 という、その言葉の重みを感じた気がした。普通に来てくれる人達に混じって、観光コースの1カ所として団体バスでやってくる。3時間はかかるはずの見学時間が、1時間とかに区切られてやってくる。昼時やバスの中でお酒を飲んで、ほろ酔い気分でやってくる。

2階の休憩所には、こんな貼り紙が。館内でお弁当を広げてはいけないのに、ここで食べる人が後を絶たないからのようです。館内放送もされていたのですが、ほとんど気に留める人もいなかったので、こういうことになったようです。ホント、注意の貼り紙がだんだん多くなるなぁ...
 「たくさんの人が来てくれるより、本当に博物館に興味がある人が来てくれて、そういう人達がゆっくり見てもらえる方がいい」。学芸員の人達はいつもそう言っている。“おれだったら来館者が多いだけで喜んじゃうのになぁ....”と思っていた私も、今は本当にその言葉がよく分かる気がした。トラックボールのことといい、泥酔者のことといい、ちょっと哀しい。学芸員の人達もやりきれない想いがあるのかも....

 それからもう1つ、やりきれないこと。泥酔した人のことがあった後、吸えなかったタバコを吸いなおしに休憩所へ行ったときのこと。ずっといた警備員の人が言った。「なんか、貴方が来る前30分くらいずっと倒れていたみたいですよ」。おーまーえー、そりゃないだろ。ふつー、そういう人見つけたら、インストラクターなり学芸員なりに連絡くらいするだろ〜が。悠々とタバコ吸ってジュース飲んで、おまえ“警備員”だろーが...

 年度が替わって警備員さんも新人なのだろうけど(入札結果により警備会社が代わったと聞いた)、そういう人を見かけたら最低警備員室へ連絡するくらいのことはするんじゃないのか。警備員とか言う前に、人として何とかするもんじゃないのか。そういう思いを堪えて、こういう時は誰々に知らせて下さいね、と言い聞かせていた。以前の人達なら絶対こんなことはなかったのになぁ、そう思いつつ。まだ彼も慣れないからそうだったんだろう、と自分に言い聞かせつつ....

 なんか哀しい気がした今日。







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