Hotori Title 2

Vol. 20

97. 3.22 (Sat)



「ホタルダス」「ビワコダス」「水環境カルテ」合同例会の様子。博物館のセミナー室にて。
 別件の仕事でこのところ土日なく出勤していたのだが、今日は土曜日にも関わらず琵琶湖博物館へ来ることになった。今日は「ホタルダス」「ビワコダス」「水環境カルテ」という3つの住民参加型調査の合同例会である。この住民参加型調査というのは、琵琶湖博物館の1つのテーマでもあり、この3つの他にも「タンポポ調査」などがあって、現在も来館者の人達に参加を呼びかけ、今後も進めていこうとしているものだ。

 3つの調査のうちでも「ホタルダス」は、その筋では全国的に有名になり、幾度となく新聞にも取り上げられた調査である。自分の家の周りの川や溝にホタルかいるかどうか、そして毎年いつホタルが飛び始めたかを調査するプロジェクトで、調査に参加しているのは普通の一般住民であり、参加有志が自分の身近なところを調べ、それがたくさん集まって一大調査を成すというものである。特別ホタルを研究している人であるとか、調査員を雇って調査しているとか、そういうことではないのだが、多くの有志が自分の手近なところを調査するので、その分長続きもすれば、こまめな調査も可能になっているという特性がある。今年で9年目。

 「ビワコダス」は、主に琵琶湖周囲の気象についての調査プロジェクト。こちらは少し専門的になっているせいか、現在参加者は限られている。今は主に風観測について調査プロジェクトが進められ、琵琶湖の周囲10カ所に風向風速計を設置し、それが通信ネットワークでリアルタイムに集計されている。その10カ所のうちの多くが、有志の自宅であったり仕事場の屋上だったりしていて、そういう意味でも住民参加型の一形態と言えるかも。ちなみに観測データーの集計は一カ所のホストコンピューターに集められるという形ではなく、10カ所のコンピューターのデーターが各々全部に送られるという形式であり、これは住民参加型というか有志調査型のものとして行う際には、なかなか面白いうまい方法ではないかと思う。誰かがとりまとめをして、そこに集まったデーターをもらうのではなく、誰もが参加者であり誰もがとりまとめ役になれるのだから。


「ビワコダス」風観測の結果をパソコンを使って表示しているところ。本当は博物館のC展示室入口でもリアルタイムに10カ所の風観測結果を得られるようにする予定だったのだが、現在は未稼働。夏くらいには見れるようになる予定。
 「水環境カルテ」は、「ホタルダス」同様、多くの有志が自分たちの地域の水環境、特に家庭や農業の用排水について、3〜40年前の様子と現状を聞き取り調査したものである。下水道はおろか、上水道が引かれる前の話は色々と感心させられるものがある。山水、わき水の利用やカワト(溝川の流れを家に引き込み、そこで洗い物などをする)等々...滋賀県でも郊外/山間部ではつい10年前までは当たり前のように使われていたと言うし、現在でもまだ使用しているところがある。

 実はこの「水環境カルテ」には少々ならず関わっていたのだが、都会っ子(笑)で、そういうものに全く接したことのない私にとっては、調査報告をとりまとめている間、「マジでまだこんなところがあるの?戦前戦中頃の話じゃないの?」とか思っていた。いやホントに、30くらい以下の人で、都会に住み続けていた人には、全く想像外の話が結構ある。

 これらの調査は、博物館C展示室2Fに展示されている。円形になっている展示室のちょうど中央部分にこれらの展示があるので、外周沿いに歩いていると結構見逃されやすい。それにこういった調査系の展示は元々が地味だし、展示のされ方も地味なので、熱心に見てくれている人がいると結構嬉しくなる。


水環境カルテの展示(C展示室)。インパクトの強い、富江家の復元家屋を出たところにあるので、素通りされること多し(^_^;;)。
 会議の方は80人近くの人を集めて色々と報告が行われているようだが、私自身は調査に関わっているわけでもないし、「水環境カルテ」のとりまとめをやっていたとは言え、最近はそれも後輩の女の子に手を移しちゃってるので、多少部外者という気がしないわけでもない。そんなわけで、ふと情報利用室へ様子を見に行くと、インストラクターの女の子がてんやわんやしていた。

 話を聞くと、いくつかのブースでビデオライブラリーが動かないと言う。で、よくよく聞いてみると、朝、情報利用室のコンピューターを起動する前に、学芸員の人が裏手にあるビデオサーバーを起動しなければならないのだが、それを忘れたようだ。またか〜という感じなのだが、忙しいやらなんやらで、ついつい朝一番にビデオサーバーのところまで来て起動手順をこなすのを忘れるってのも分かる。おまけにビデオサーバーが動いているかどうかは情報利用室側では全く分からないから、インストラクターの女の子達は、開館してもコンピューターが起動してなければ、無条件に立ちあげてしまうのも無理はない。

 コンピューターを再起動させてやれば、ビデオサーバーとのリンクも回復してビデオライブラリも見れるのだが、土曜日ってこともあって非常に混雑している上、お客さん(主に子供)がブースから離れなくって、どうにも手をこまねいているようだった。平日だと団体のお客さんでもいない限り、情報利用室は全ブースが常に満員なんてこともなく、なにかトラブルがあっても各ブースが空くのを待ってサクサクと対処できるのだが、土日は本当に全ブースが常にいっぱいで、子供や家族連れはなかなかブースから離れない。

 関わっている本人が言うのもなんだけど、よくまぁそれだけ長い時間飽きもせず楽しめるねぇって思う(爆)。無論、盛りだくさん(?)だし、ビデオライブラリーを見てるだけで1日過ごせる量はあるんだけど、それはそれとしてやっぱり1時間以上も遊んでいる人を見ると感心するばかり。いや、感謝だな。


ホタルダス調査の展示。調査員一人一人の生の声が聴ける。
 ま、そうこうしているうちに会議に戻って、閉館前には会議は終了した。こちらの方も色々出てる意見を聞いてると面白いものはあったけどね。ホタルを一切捕ってはいけないという条例を作った町があって、他の町にも広げたい、という人もいれば、ホタルを捕ってはいけないというのは逆におかしいもんで自然じゃない、という人も結構いた。「ホタルダス」にせよ、「ビワコダス」にせよ、「水環境カルテ」にせよ、それぞれがその調査を仕事にしているわけでもなく、有志だからこそ、強いこだわりをもっている気がする。

 正直なところ、興味はなくもないけど、参加者の多くがあまりに純粋にがんばっていたりすると、ちょっとついていけないという面もあったりする。たぶん、そういう人は少なくないと思う。博物館の来館者に呼びかけ、すそ野を広げようとするときに、極度な純粋さが逆効果にならなければ良いな、と思ったりした。まぁ、みんな大人だから大丈夫だとは思うけど...なんて偉そうに私が思うことでもないよね。

 そして今年度もあと1週間....博物館も(一部)新旧交代の季節を迎える。







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